古い文化と今の生活2
たとえば、玄関の下駄箱の天板には、一枚ものの高価な銘木が使ってある。
この家は、雑誌『建築文化』の昭和五四年一〇月号に「下京の町家」と題して始めて発表された。
設計者の吉村篤一さんは、ここに「改造工事始末記」を日記風に階いた。
改造のくわしいいきさつはもちろん、施主との打合せや設計や工事の経過がよくわかり、読者の参考になると思うので、この文章をそのまま転載することにしたい。
昭和五二年一〇月二〇日夜長尾家の方々と初対面。
長尾氏は大手コンピュータ会社でシステムエンジニヤリングを担当。
母堂は裏千家のお茶、専慶流のお花の教授をされている。
そして夫人と弟さんの四人家族。
最初は、水回りの改造と、二階のベッド 通販などを置く天井の低い部屋をなんとかしたいという漠然とした話を聞いて、工事の困難さや、住みながらの改造のやりにくさを話し合った程度で終わる。